昨日、新しくこどもの本をお迎えしました。
『ジェインのもうふ』
アーサー・ミラー作、アル・パーカー絵
偕成社 1971年初版
こちらの本、以前図書館で目に入ったとたんに吸い寄せられ、ああこれはすごい、と魅了された本です。
今まで手元に置いていなかったのですが、昨日友だちとブックオフに行ったら販売されていたので、喜び勇んで購入し、連れて帰ってきました。
とても感動したのでご紹介させていただきます。
さて、こちらの本、じっくり読み返してみるとやはりすごい。
こんなにも、子どもの感性をすくいあげられるなんて!
こどもの世界にいざなってくれる本だと思いました。
ジェインは、赤ちゃんの頃から使っているピンクの毛布が大好きです。どんなときも、ジェインと毛布はいっしょ。
でも、ジェインが大きくなるにつれて、毛布は古ぼけてほつれてきて…
ジェインの心の動きが丁寧に描かれます。
じぶんのからだが、だんだん大きくなっていく不思議さ。
じぶんは大きくなるのに、大好きな毛布は大きくならないこと。
なぜ?どうして?がたくさん。
今日の午後、布団が積み上がった寝室でこの本を声に出して読み返していたら、コトンと自分の中で何かが動きました。
私は子どもの頃のことをあまり鮮明に覚えていません。
子どもだった自分の感覚がどんなだったか、ふだん思い出せません。
でも、この本を声に出して読んでいたら、
「あっそうだ。わたし小さいころ、声に出して本を読むことが好きだった。だから、今も読み聞かせボランティアしてるのかな」
と、今さらのように思いました。
そして、子どものころ、外で遊ぶより家で本を読んだり絵を描くことが好きだったこと。
実家の2階の寝室で、戸袋に風が当たって雨戸が「ボン、ボン」と乾いた音を立てるのを聞きながら、ずっと本を読んでいたことなどを思い出しました。
そんなことをボーッと思い出しながら、『ジェインのもうふ』を読んでいたら、
「ああ、本当に、赤ちゃんだったじぶんが大きくなっていくなんて不思議だなあ。毛布もお人形も、大きくならずにだんだんと古ぼけていくのに。なぜなんだろう?」
と、ジェインと一緒に子どもの感覚になっていき、
「子どもが成長するのはあたりまえ」
というような、大人の感覚では片付けられない謎が、この世界には満ちていることを思い出しました。
こういった、世界の神秘を思い出させてくれるきっかけが、こどもの本にはあるのだなあ、と体感したできごとでした。
こちらの『ジェインのもうふ』、アル・パーカーさんの素晴らしい挿絵もたいへん美しく、ため息がでるほどです。
当時のアメリカの家庭をのぞける楽しさもあります。
気になった方はぜひご一読を。