一昨日、ヒヨコのラントンがイタチに襲われて大怪我をしました。
幸い一命はとりとめたものの、いまも油断できない状況です。
何かしてないと悪い方向にばかり考えてしまうし、
どこかに書き出さないと辛い思いがたまって苦しいので、こちらに吐き出させていただきます。
こちらは昨日、音声入力でとにかく吐き出した文章です。
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きのうの朝6時ごろ、悲劇が起こった。5時過ぎからひよこたちを散歩に出していたら、イタチに襲われラントンが大怪我をした。
私の油断だった。もっとちゃんと野生動物が来てないか見回りをしなければいけなかったのに、まぁ大丈夫だろうと思ってつい仕事にのめりこんでしまっていたら。
ヒヨコの鋭い悲鳴がして、夫と2人で庭に飛び出すと、散歩用のペットサークルの中にイタチが入り込み、凄まじい勢いでサークル内を駆け回っていた。イタチが動く軌跡がのたうつ蛇のように見える。駆け寄るともうイタチの姿はない。つむじ風のように消えている。動きが早すぎて、目が追いつかないのだ。そしてひよこが2羽しかいない。1 羽さらわれた!どこだ?と必死で目を動かすと、部屋の窓の方からヒヨコの鳴き声が。ムギが逃げ出して、部屋のほうに来ていたのだ。よかった。3羽ともいる、さらわれなかった…おそるおそるサークルの2羽のひよこたちの体を調べる。コメは大丈夫そうだ。そしてラントンの体を抱いてお腹側を見て血の気が引く。左足の付け根から血が滴っている。
とりあえず血をティッシュで拭き取り、小さな洗面器に脱脂綿をしき、ラントンを座らせる。でもバタバタと羽をはばたいて動こうとする。時々口を開けてハアハアと息をするようになってきた。喉が乾いているのだろうかと思って水をあげる。でもあまり飲まない。痛がっているのだ。どうしようと思い、ラントンの好きなとうもろこしやクローバーの葉っぱをあげてみるといつもと同じような感じでパクパクと食べる。少し安心する。
ラントンを洗面器のベッドに入れたままみんなと同じカゴに入れる。みんなと同じじゃないと不安だろうと思ったからだ。でもみんなのそばにくっつこうとバタバタ、ベッドから出ようとする。一体どうしたらいいんだろう。傷は見たところ、大きくはないように見えるけれど、でも口を開けてハァハァしているし確実に苦しがっている。血はもう止まっているけどどうしたらいいかわからない。
窓の外にはイタチがまたきている。さっきまでヒヨコがいたところにまたやってきていたのだ。イタチと目が合う。何週間か前、最初にイタチが来た時はただ憎い奴めと思ったけど、今はただ、かなしい。
夫が「野生動物にやられた傷やから心配やな」と言う。ハッとする。確かにそうだ。ダメ元で市内の動物病院に電話してみる。チャボなど、ニワトリ類を見てくれる病院は少ない。インターネットで調べた限りでは、市内でインコや文鳥など以外の鳥を見てくれる病院を見つけられなかった。それでも電話をしてみて断られても「どこかチャボを診てくれる病院を知りませんか」と聞いていくと、わずか2回目の電話で、「うちは診られないけどここなら診てくれるかもしれません」と隣の市の病院を紹介してくれた。
急いでその病院にかけてみると、チャボも診察できるとのことで、とても丁寧に話を聞いてくれた。予約がいっぱいなのだが、野生動物の咬み傷で心配なので特別に見てくれるとの事だった。
救われる思いで急いでランタンを小さな段ボールに入れ、娘2人を車に乗せて出発。きっと大丈夫。きっと大丈夫!と言い聞かせる。見た感じ傷は小さいしきっと大丈夫って言ってもらえるはずだ。無理矢理自分に言い聞かせて病院へ。
動物病院と言うところに生まれて初めて行った。先生も看護師さんもとても優しい感じの良い方々でとても話をよく聞いてくれ、張り詰めていたものが解ける気分だった。レントゲンを撮ることになり待ち時間。きっと大丈夫。「骨に異常はありませんね。野生動物によるなのでいちおう抗生物質を出しましょう」きっとそんな感じだろう。きっと大丈夫。そう。言い聞かせて待つことしばらく。戻ってこられた先生がから先生の口から出た言葉、恐ろしいものだった。
「骨折れてますね。左の大腿骨が2カ所折れてます。この右足も生まれつき曲がっているし、腰骨も曲がっていることがわかりました。くる病のような感じで、骨が折れやすかったのでしょう」
空気がさっと冷たくなったように感じる。そして次の言葉に凍りつく。
「この怪我が元でなくなる可能性は高いと思います。
野生動物に咬まれているので、感染症を起こして亡くなる可能性もありますし、もし順調に行って足の骨がくっついたとしても、長生きはできないかもしれません。ニワトリさんのように、空を飛ばない鳥の仲間は、足の強さがとても大事なんですよ。その足が悪くなると致命的です。歩けるようにならないことも多くて、その場合車椅子生活になります」
すーっと、診察室が現実から離れた世界のように感じる。
今朝まで元気にぴょこぴょこ歩き回ってたラントンが、死ぬかもしれない?
うまくいったとしても、もう歩けない?
子どもたちは、ラントン、どうなるの?と不安げな目でこちらを見てくる。
私が油断したせいで、一瞬で変わってしまった。この子がじぶんの足で歩いていた世界には、2度と戻れないのか?
獣医さんはラントンに、感染症予防のための抗生剤の注射と点滴をしてくれた。
ラントンは生まれて初めての注射にも耐えていて、いじらしかった。
ぼんやりとしながら、獣医さんの説明を受け、会計をし、病院を出る。
灼熱の太陽が照りつけて、熱い空気がまとわりつく。
運転中も、車の振動が傷に触る気がして、気が気じゃない。
自宅に帰り、とにかく獣医さんに言われた通りのことをしなければと、もらった薬やサプリメントを広げる。
たくさんあって、クラクラする。
とにかく、抗生剤を1日2回、水や食事に混ぜて与えること。
さいしょの3日から1週間は特に、絶対安静にして動かさないこと。
最初の3日で、ひどく骨がずれることはなくなると思うので、とにかく3日は動かさない。
でも油断せず、3日が過ぎても、1ヶ月間は絶対安静で。
小さな箱に入れて、動き回らないように気をつけてあげること。
目の前にご飯と水を置いてあげて、食べられるようにすること。
布などを敷いてクッションを作ってあげて、折れている左足に体重がかからないようにしてあげること。
体重が減らないように気をつけて見てあげること。
手近な段ボール箱で、教わったとおりの部屋を作り、ラントンを入れる。
夕方ちかく、抗生剤をあげる。
薬が入っている紙の袋をやぶると、薬の量はほんのわずか。切った小指の爪くらいの量しかない。
それを、ほんのわずかな水、15ミリリットル位だろうか。そのくらいのわずかな水に混ぜ、病院でもらった注射器型のシリンジを使って吸い上げ、ラントンの口元にくっつけてみる。
鳥さんに直接水を飲ませるのは初めて。
口元に水がつくものの、なかなか飲めない。
試行錯誤してあれこれためし、手のひらのシワになったところに、1滴ずつ薬を溶かした水を落とし、その水の粒をラントンのくちばしの先にくっつけると。ちょこちょこと音を立ててくちばしをふるわせ、飲んでくれた!
嬉しい。嬉しい。嬉しい!
ほんの1滴ずつ、手のひらをつたわせて、ラントンのくちばしに水を吸い込ませる。
飲ませるのは無理かと思っていた薬を、ほぼ全てきれいに飲ませることができた!
薬を飲ませて、後は安静に、とスムーズに行きたいがそれが難しい。どうしてもバタバタしてしまうし、だからといってずっと押さえつけているわけにもいかないし…コメとムギの世話もある。明日は絵本作家が集まる大型イベントに出店するから、その準備もしなければならない。家族のことは、家事は。
やることがたくさんありすぎて、フリーズしてしまう。
明日のイベント、どうしよう。
会場までは高速道路で1時間運転しなければいけない。
子どもの時のある経験から、私は高速道路がひどく苦手だ。
数年前から、高速道路や車の運転でパニック発作が出るようになり、自分で運転するのはすごい恐怖がある。
だから、夫に運転をお願いし、子どもたちも連れて家族全員で荷物搬入を手伝ってもらい、午前中だけでも助けてもらう予定だったのだ。
だけど、その間、ラントンはどうする?
どんなに猛スピードでやったとしても、夫と子どもが自宅に帰るまで、出発してから3時間半はかかるだろう。
水さえ自分で飲めないのに、そんな時間耐えられるわけがない。
ありとあらゆる方法を考え、もうイベント出店をやめてしまおうかと思った。
気持ち的にも、ラントンがこんなことになって、力が湧いてこない。
初めて出店する大型イベントで勝手がわからないこと、移動や荷物搬入に関わるありとあらゆる心配、
そういうのが、押し寄せて、動けなくなってしまった。
家族に相談してみたり、夫に「こどもたちだけ、ひよこの世話のために残ってもらって、それじゃ子どもたちが心配だから(夫の実家の)お母さんにきてもらったりできないかな?」
と、聞いてみるも、「うーん」と言う返事。
結局、自分で決めるしかない。イベント出店を決めたのも自分だし。
腹をくくって、自分ひとりで全てこなすことにした。高速道路運転と、ひどく重い荷物の搬入をどうすればいいのか、考えたくもない感じだったが、どうにもならなかったら、その時に諦めればいい。
とりあえず、車が停められないとどうにもならないので、会場近くのコインパーキングを急遽予約する。
夜10時ごろ。
出店のための準備はまだ終わっていない。
今日、最終の準備を終わらせようと思っていたけど、結局全く準備ができなかった。
こんな状態で明日予定通りこなせるんだろうか?
考えたくもないくらい疲弊していたが、とにかくラントンの命を守らなければ。
最低限の準備を少し進め、後は明日の自分に任せることにして、ラントンの隣に座布団を敷いて、横になる。
静かにしてくれているのが怖い。
鳥さんははかない。
病気や怪我のとき、一晩を越えられなくて、朝になってから冷たくなっているケースはよくある。
私は昔インコを飼っていたからわかる。
隣で寝てるラントンは明日になったら冷たくなってるかもしれない。
そう思うと、涙が流れて止まらない。
ちょこちょこ歩きまわったり、羽ばたいて飛び上がったり、きょうだいたちとご飯を食べていた姿が目に浮かぶ。すごく気持ち良さそうに砂浴びしてた姿も。
もう二度とあの姿は帰ってこないのかな?
泣けてしょうがなくて、鼻が詰まって息ができなくなる。
睡眠不足だと、ラントンを守るところじゃないぞ言い聞かせるけど、どうしようもない。
けれどそのまま、泥のように眠ってしまった。
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以上が、怪我した翌日に書きとめたものです。
結果的に、ラントンは最初の夜を越えて持ちこたえてくれました。
記録のために、続けて書きとめていきます。